ホシザメはとても旨い。〜長崎県松浦市へ2日目〜

 2024年10月31日 曇り。

 猫たちとはじめての車中泊、実によく眠れた。日の出過ぎには目覚め、ゆっくり車内を移動モードに戻し味噌汁とコーヒーを飲んでから移動開始。少し進むと大量のカラスで賑わう景色に遭遇。「きっと何かが死んでるわー」と言いながら車を進めると、まだ子どもの猪が車に撥ねられ、それを食べにカラスたちが群がっていた。猪は大変気の毒なことだったけれど、カラスたちには朝から凄いご馳走でよかったねぇ。あのくらいの猪、まだ子豚だから味は市販の豚肉程の深みしかないけれど、でもきちんと猪の旨味があるし、柔らかくて美味しいんだよなぁ。

 山口県の田舎道、海岸沿いはいくらか焼き杉板の家が残っている。全体的に90年代に建て替えた感じの家が多い。もしかすると竹野は過疎化が早かったので90年代に更新されず放置され、そのため逆に残った景色があるのかもしれない。そう考えると然るべき頃合いに更新されなかったことが逆に宝になる場合もあるように思った。海岸沿いを離れ南下し関門海峡へ向かう。山間部に入るにつれて大きな古い農家が多くなってくる。屋根瓦は決まって赤茶色。但馬付近は黒い瓦だけれど、西へ行けば行くほど赤茶色の瓦になるのが興味深い。きっと土が粘土が違うんだ。鉄分が多いのかな?そして家の土台は石垣の家が多い。これもこのあたりの特徴だと思う。とても美しい景色で大好きだ。

 10時頃には関門海峡をわたり九州入りし門司港の「安全入船食堂」で遅めの朝食。このお店は雰囲気が好きで2回目。

朝定食大380円。少し値上げされたとのことだけれど、この物価高の時代に凄いことです。

 2年前、九州の都会部分も下道を走ったけれど、慣れない道に交通量の多さとスピードについていくことができず疲れ切ってしまった記憶があり、都会は高速道路を頑張って走って逃げようということに。ということで粕屋から高速に乗りびゅんびゅん進む。この時、夏の海の仕事の時だけ会う仲間をふと思い出し、「元気かなぁ」と思った。しかし高速道路はジャンクションが多い。ジャンクションというカタカナ文字は見るからに怖い。そして真弓さんがナビをしっかり見ながら案内してくれるが、それでも難しい。「○○ジャンクションを直進方向です」と言われるが、サキイカを少し割いた程度の分岐があり全て直進に見える。非常に難しい。

 二人でわーわー言ってる間にギリギリ間違えることなく数々のジャンクションをこなし、あっという間に田舎道。田舎道は良い。景色も良いしゆっくり走れる。ジャンクションもいない。伊万里を過ぎる頃から小さな田んぼが多くなる。丁度稲刈り時期の様子で楽しい。棚田も多く稲木に干してある景色も多々あり嬉しい。大型の機械を使わない米作り、もっともっと知りたいんだよなぁ。

 順調に松浦市に入ったので、「今夜はおいしい魚料理を作って父上と食べよう!」ということで、松浦市を素通りし平戸の「平戸瀬戸市場」へ。この市場は平戸の大きな魚が豪快に並んでいるのでとても楽しい。竹野にもこんなお店があればいいのになぁと心底思う。お刺し身用にカツオの半身、お鍋用にホシザメを買って父上の家へ。

 90歳手前で一人暮らしの父上、かなり心配していたんだけれど元気でホッとした。本人はかなり弱ったと言うし実際そうなんだけれど、まだ車の運転もしているし、きちんと自炊している。それは凄いことなんだ。しかし戦中生まれでまだ存命の人と数人お付き合いがあるけれど、どの人もとても頑丈。

 ホシザメは鍋にする前にこっそり刺し身で食べてみた。このまま全部刺し身にしたいなぁと思うほど美味しかった。でも鍋にした。鍋もまた絶品だった。おそらく煮付けが一番美味しくなるだろうなぁとも思った。父上も「うまいのぉうまいのぉ、加減がええのぉ」と沢山食べてくれた。そして心配していた猫たちは、家の雰囲気が我が家と似ているからか、一瞬で家認識し父上にも懐きくつろいでいた。とてもホッとした。

 その後は2年ぶりということで話に花が咲いた。ただ三日間運転しっぱなしのわたくし、19時過ぎにはうとうとしてしまった。うとうとの最中、高速に乗る時にふと思った、夏の海の仕事で一緒になる仲間からメッセージが届いた。わおびっくり。

 尚、10月20日の件を「事後報告ですみません…」と報告しつつ写真を見てもらった。「これは貸衣装か?!」の一言のみいただきました。