日帰り西宮。

 西宮の甲東園。産まれた街ではないけれど育った街。記憶は阪神大震災前で止まっており、今の景色に懐かしさを全く感じない。

 2024年11月8日 晴れ。

 朝5時出発で、父の通院のため西宮へ向かう。まだ真っ暗で、玄関を出て夜空を眺めるととても星が美しかった。夏の星空も良いけれど、寒くなってくると、ピンと張り詰め澄んだ夜空になりとても好き。冬はあと、雪解け水が流れる川が好き。水の色も流れる音も、他の季節と全く違っていいんだなぁ。
そんなことをぼんやり思いながら車を走らせ、ひとつトンネルを抜けると、どーんと雌鹿2頭が目に飛び込んできた。一気に覚めた。

 豊岡から北近畿道に入り暗い中どんどん走る。養父あたりから陽が入ってきて、なんとも美しい浮世絵の色使いに空が染まってくる。とてもとても美しい。外気は6℃。

 今日も妹が一緒に来てくれ、楽しい通院だった。父の様子も少し変わってきたように思う。時間をかけていろいろなことが重なり崩れた調子、一気に戻すのは難しいけれど、少しづつ整えて少しでも暮らしを楽しめるように持っていけたらなと思う。これからまた時代が大きく変わりそうだし、父がいてくれる方が心強い。あとできることなら、父が書いた詞に曲をつけて歌いたいという密かな夢がある。阪神大震災前、押し入れの中をあさっていたら父が書いた詩がたくさん出てきて、内容は一切覚えていないが美しかったことだけ覚えている。

 午後から、夏の海の仕事で一緒になる神戸在住の仲間に会う予定だったけれど、どうも大変気持ちが沈んでいる様子で日を改めることになった。頭の中を忙しくせず、ゆっくり休むことができますように。

 ということで、妹おすすめのタイ国料理店イサラへ。

店内に入った瞬間、昔何度も来たことがある、何度もきたことがある、誰と来たんだろう?ごっそり記憶が抜け落ちているけれど、好きなお店だったことだけは思い出せた。そしてとてもおいしかった。丁寧でとても優しい味。

 帰路、行きとは逆でだんだん暗くなってくる。陽が海に落ち、まだうっすら赤みが残る水面で漁火が灯っていた。いいなぁいいなぁ。