念願の「私はおぼえている」。

2024年8月11日 北風強く波が高い。

朝6時に梨山へあがり罠を確認。警戒している様子でここは歩かなくなっている。なのでここは良いのだが、北側の斜面を突破しまたまた梨の被害が拡大してしまった。これはえらいことだ。こうなると本当に、柵を強化するしかない。ただこの斜面でこの広さ。かなりの資材も必要になるし、そう簡単にできるものではない。あれこれ話し合い早急に柵を強化することにはなったが、とにかく僕は無力で苦しくなった。あれこれ考えつつ、11時には豊岡劇場に行かねばなりませんので、「また夕方来ます」と帰宅し準備。


映画監督、波田野州平「私はおぼえている」を観に豊岡劇場へ。波田野さんは3年前から竹野で度々撮影を行なっておられ出会った。そしてよく彼の作品を知りもせず、昨年の夏は我が家に滞在していただき、寝食を共にしながら撮影にも関わることができた。なので彼の魅力はよく知っているだけではなく、僕もまた彼が大好きで、そして彼が竹野で起こした波や渦に巻き込まれ、あれからまた大きく僕自身も変わってきた。そしてまだまだ彼が起こした大きな渦の中にいる。そしてはじめてゆっくり鑑賞し、いやはやとんでもない人と出会ってしまったと確信した。映画の感想は、いつになったら言語化できるかわかりません。本物の映画。


豊岡劇場から戻ったらすぐ準備して梨山へ。69歳のご主人が圃場の周囲の柵の下の方に全てトタンを設置し、電気柵も新た張り巡らせる作業を急斜面で進めておられた。駆け上がって行って近くと、もう疲労困憊な上、なんとか日没までに作業を完了させなければ確実に被害が拡大するので、戦々恐々とした雰囲気が漂っていた。声をかけるべきか否か迷いに迷ったが、「何かお手伝いできることありますか?」と声を出してみた。「ひとりでできるしけぇ!」と一言。これはもう僕は足手まといになるだけだなと確信し、その場を去った。少し離れてから振り返り作業の様子を眺めてみたら、ご主人、30歳以上若返ったかのように見えた。ものすごい場所でものすごいテンポで作業をしている。あとでお疲れ出ませんように。

このまま大人しく帰る気持ちになれず、狩猟の師匠に電話し相談。的確な助言をいただく。そしてきっと他の場所にも彼らが動いた痕跡があるだろうと、今動ける範囲の場所を探索してまわった。

立派なヌタ馬を見つけたあと、藪の中でかすかな物音。確認のため物音がした方向に石を投げてみたら、数頭がガサガサガサガサ!と走っていく音と共に藪が小刻みに揺れた。寝場所をみつけた。悔しいけれどジワジワ攻めることしか僕にはできない。あとこの藪は刈らねば。なかなかすぐに実現できそうにないが、農会にも話をしていかねば。


19時前に帰宅。すぐに今宵の宴の準備。波田野監督一家と、Bozzoさんご夫婦とnanairoで、この度の上映とこのお盆中の撮影がうまくいきますようにと前祝。大変賑やかで創作意欲が湧く会話が続き、素晴らしい宴でありました。